株式会社ALL CONNECT (岩井様)

マニュアルとは、「自分の想いを 伝える共通言語」。

株式会社ALL CONNECT (岩井様)

株式会社ALL CONNECT (岩井様)
代表取締役社長 岩井 宏太 様

(いわい・こうた)1982年5月21日、岐阜県生まれ。 大学在学中の2005年に創業。通信業界の風雲児として注目を集めている。 幼い頃から「社長になりたい」という夢を抱き、 大学在学中に創業した株式会社ALL CONNECT代表の岩井宏太氏。 訪問販売やテレマーケティングが主流であった販売代行業にwebをミックスさせるという大胆な手法により、 その名は一躍通信業界でも知られることに。 経営にも独自の理論を持つ岩井氏が、組織を大きくするために必要だと感じているのが「マニュアル」の存在。 実際、ALL CONNECTではどのようなマニュアルを導入しているのか、伺いました。

働きたくないから社長になる道を選んだ

「ALL CONNECTは主にふたつの事業を軸としています。ひとつは『代理販売事業』。スマートフォンや光ファイバー、ブロードバンドといった通信機器や通信サービスの委託販売です。もうひとつが『オウンドサービス事業』。WiMAXやLTEなどの移動体通信サービスや、光回線や光コラボレーションモデルなどの固定通信サービスを自社ブランドとして立ち上げ、販売しています。

大学在学中に創業し、卒業と同時にALL CONNECTを設立しました。

振り返ってみると、中学生の頃から『社長』というものへの憧れがあって。元々の出発点は『働きたくない』という思いで、社長になれば働かなくても済むと思っていたのです。だから、当初は30歳くらいで引退することを視野に入れていました。

ところが、いざ経営をはじめてみると、とても楽しかった。また、責任感も芽生え、クライアントやお客さまの喜ぶ顔を見たとき、部下たちの成長を目の当たりにしたときに、これ以上ないくらいの感動も覚えました。結果として、働かなくて済むどころか、働くことが楽しくなり、どんどん忙しくなっていきましたね」

会社は拡大、組織の効率は低下

「通信業界に参入した一番の理由は、市場規模の大きさと成長が見込めることでした。創業当時はまだスマートフォンもなく、『検索』が一般的ではない世の中でした。しかし、今では一人一台スマートフォンを所有していて、気になることはすぐ検索できるような時代になった。当時、想定していたように、通信というものが広く普及したと感じています。

会社設立当初は4名だった従業員も、いまでは700名ほどに増えました。正直、創業から7年目までは勢いを落とすことなく伸びていたと自負しています。

ただし、組織というものは大きくなればなるほど、効率が低下します。それは、トップが考えていることを、100%のクオリティで共有することができないから。人が増えれば、トップの目が届かない領域も増え、認識にズレが生じてしまう。結果として、サービスも低下する。それが7年目、8年目の利益が横ばいだった頃です」

個人の独創性を生み出すものがマニュアル

「そこで大切になったのが、『マニュアル』でした。マニュアルと聞くと、『独創性や主体性が失われる』というネガティブなイメージを持っている人も少なくないと思います。けれど、決してそうではありません。

マニュアルというものはひとつの手順書であり、そのなかで『どこに個人の独創性を発揮し、差をつけてもらいたいか』を明確にするものなんです。それを導入することを決めた当初、多少不安に感じていた社員もいたと思います。けれど、結果としては『より求められていることがわかった』『業務に集中できるようになった』という声があがっており、それまで以上に業務の効率化が図れていると感じています。

ただし、マニュアルを作成するのは、難しいものなんです。担当者によって作り方もフォーマットもバラバラで、『作った本人にしか理解できない』という状況もあった。それでは意味がない。統一されており、誰もが理解できるものでなければマニュアルとは呼べません。だから、『マニュアルを制作するマニュアル』を持っている2.1さんに手伝っていただくことにしたんです」

指示命令の効率化を図ることができた

「マニュアルを作成する上で感動したのは、それを作り上げていく過程です。適当なたたき台や資料などを用意する必要もなく、ヒアリングのみで徐々にできあがっていきました。そのヒアリング自体もポイントが押さえられており、非常に短時間だったため、負担に感じることもありませんでした。

できあがったマニュアルは『更新』が前提とされているので、日々使用していく中で気づいた点、不足していると感じた点を肉付けし、より強固なものへとアップデートされます。指示命令が効率的になったのもメリットです。マニュアルを準備することでそもそもの説明が不要になりますし、説明が必要になる場面でも、表現が抽象的にならず、より深い理解を促すことができます。

さらに、業務の動かし方や報告方法に差があると、どうしてもそれをまとめる人間に負担がかかりますが、各部門の仕事の仕方が統一されたことにより、そういった余計な負担も軽減されました。

また、私たちが身を置く通信業界は、事業を行う上で電気通信事業法などの細かな法律があり、一人の小さなミスが会社にとって大きなペナルティを被る可能性もあります。その上で、営業での言い回しひとつ、契約書一枚をとっても、ある程度の均一化が必要で、それは、時に売上や利益以上に大切になってくる場面も多々あります。その上でもマニュアルは欠かせないものだと考えます」

目指すのは、自分がいなくても闘える会社

「私が会社に望んでいるのは、いつか自分がいなくなったとしても『強い組織』であり続けること。そもそも、私は最強の会社を作りたい。そのためには、トップがいなくなっても回せる力が必要です。そこで必要になるのが、マニュアルだと感じています。

トップがいなくなっても闘える会社というのは、法治国家のように、『人』ではなく『仕組み(マニュアル)』によって維持されていく会社のこと。そのためにも、今後もマニュアルをうまく活用していきたいと思っています。

私にとってマニュアルとは、自分の想いや価値観を伝えるための『共通言語』です。自分の頭のなかを100%そのままで伝えることはできないとしても、共通言語があれば、99%までは共有できるかもしれない。実際、マニュアルを導入するようになって、意思疎通におけるロスが減りました。

私が直接やれば思い通りにできるかもしれませんが、現実問題、そういうわけにはいきません。だからこそ、マニュアルの力を借りて、私以外の人間がやったとしても、99%のクオリティを担保できるようにしたい。それが叶ったとき、私が望む『強い組織』ができあがったと思えるんでしょうね」


人を束ねる職種だからこその「不変部分」に特化したマニュアル

ALL CONNECT様の「管理職」マニュアル

「事業責任者および候補者が使用する『管理職マニュアル』を作成しました。
事業予算などは状況に応じて変化するものなので、マニュアル導入を検討していた当初は実施不可能だと考えていたのです。そこで、マニュアル化できる部分とできない部分に仕分けすることを意識しました。たとえば、マニュアルに入れ込んだのは『事業立ち上げ時に行うことのリスト』といった、どんな状況下でも変わらないもの。その一方で、その事業に対する投資額などは都度変わるため、『過去事例』という形で参照できるように入れています。