2.1のマニュアルで大きなポイントとなるのが、次の3つの要素です。
①目的
②行動
③結果
2.1が作るマニュアルには、この3点の要素が必ず入っています。これがどう重要なのか、具体的に説明しましょう。
たとえば、飲食店の業務として「トイレ掃除」がありますね。トイレ掃除は「何のためにやるのか?」といえば、「お客様がいらしたときに、トイレがキレイだと気持ちがよく、おもてなしの気持ちを表すことにもなる」ためです。これが①の「目的」です。トイレ掃除に取り組む「姿勢」と言ってもいいでしょう。
次に、「どのように掃除するのか?」といえば、「モップで床を水拭きする」「ぞうきんを替えて3回磨く」など、掃除の手順や方法が挙げられます。これが②の「行動」です。
業務の「目的×行動」を明確にすること。
マニュアルの基本ですね。
でも、世の中のマニュアルには、この基本的なポイントすら書かれていないものがたくさんあります。
さて、掃除を担当したスタッフが、「掃除、終わりました。1時間かけてピカピカにしました!」と報告したとします。
ピカピカのトイレ。仕上がりとしては申し分ありません。でも、それでいいんでしょうか?
トイレ掃除に1時間?
いやいや、あり得ません。
ほかにも仕事がたくさんあるのに、トイレ掃除に1時間もかけている場合ではないんです。
そのマニュアルには何が足りなかったんでしょうか?それが③の「結果」です。
その業務の「所要時間」や「期限」、終わった後の「状態」も明確になっていなければ、作業時間は5分で早いけど雑に終える人、丁寧だけどのんびりやって1時間で終える人、というように、担当者によって程度やクオリティに違いが出てきます。
個人の力量や読解力によって業務の結果が変わってしまうマニュアルは、いいマニュアルではありません。トイレ掃除の場合、たとえば「掃除時間は15分で」(所要時間)、「開店30分前までに(期限)、「床、壁、便器、洗面台を清掃し、トイレットペーパーの交換・補充ができている」(状態)、というように、その業務に対する結果設定をすることが重要です。
このように、「目的×行動×結果」という3つの要素のかけ算が、2.1のマニュアル=型なんです。
一方、武道の型の場合、含まれる要素は「目的×行動」の2つです。
たとえば「面打ち」の練習では、「何秒以内に何回振る」とか「何分間振りつづける」というように、「目的」とそれに対する「行動」がすべてでした。「剣道がうまくなる」ということが「結果」といえばそうかもしれませんが、明確なゴールがわかりません。「いつかうまくなる」というぼんやりした目標に向かって頑張りつづけるのはしんどいものです。
でも、型=マニュアルは、「勝つこと」を結果として設定します。試合に勝つことが前提にあるわけです。
これが、2.1の型と武道の型との違いです。
ちなみに、トリセツにはほとんど「行動」しか入っていません。